大学入学共通テストへの英語民間試験の導入ってなに?

 

大学入学共通テストって?

大学入試センター試験センター試験)が2020年をもって廃止され、その後に新しく始まる2021年から始まる共通テストのことです。基本的には問題の難易度はセンター試験と変わりありませんが、全体的に問題文が長くなり、読解力・処理能力が問われる試験になり、受験生は難しいと感じる人が多いと思います。

位置付けとしては、従来のセンター試験と同じなので国公立大学を受験する人は必ず受けなければならない試験ですし、私立大学への進学を考えている人も入試方式によっては大学入試共通テストを利用できるので、多くの受験生が受けることになります。

特に変化が大きい科目は英語になります。従来のセンター試験では、実質、『読む・聞く』の2技能しか測ることができないということが問題視され、大学入試共通テストでは『読む・聞く・書く・話す』の4技能を測定することになりました。

 

大学入学共通テストへの英語民間試験の導入って?

4技能を測るために導入されたのが、英検やTOEICなどの英語民間試験です。初の大学入学共通テストは2021年1月実施の予定ですが、その試験を受けるまでに7種類の英語民間試験のどれかを選んで申し込みをします。2021年受験予定の学生は、2020年高校3年生の4月から12月までの期間に英語民間試験を2回受けることができ、そのスコアが活用されることになっています。国公立大学はほとんどの大学が、私立大学も6割程度の大学がこの英語民間試験を活用すると公表していますが、「出願要件とする」「合否の判定には用いない」など実際にどのように活用するの詳細は分かっていない状況です。

 

英語民間試験導入の問題点

 7種類の民間試験を用いることの不公平さ

まず、7種類の難易度・傾向・問題の量・受験料・実施回数などそれぞれの試験が様々な特徴をもっていて公平さが保てないということです。試験によっては地方では実施していないテストがあったり、回数が少なかったりします。これでは住んでいる場所によってだけでも差が出てきます。

 懸念される経済格差

従来だと、大学入学共通テストの受験料に加えて、その後受験する国立大学の受験料を支払うだけでした。しかし、共通テストの前に英語民間試験の受験料やその対策にかかる費用も必要になってきます。民間試験の受験料も1回5000円程度から30000円程度かかります。人生のかかった大学受験ですから、できれば2回受けてチャンスを増やしたいと思うでしょうし、高校3年生になる前にも練習として受験したいと思うのが普通だと思います。しかし、安くない受験料を毎回払うとなると、保護者の経済的負担が大きくなります。経済的に裕福でない家庭は何度も受けるだけの余裕がなかったり、受験料が高い民間試験は子供に受験させてあげられないということにもなりかねません。ここで経済格差が大きく影響し、最悪の場合は国立大学の進学を諦めざるを得ない状況になり得ます。

 採点のミス・機器のトラブルの問題

英検の2次試験のように個別に1人ずつ面接試験があるものは問題ありませんが、みんなでパソコンやタブレットを一斉に用いてスピーキングの問題が出されると機器のトラブルが起こった際にどれが誰の声かがわかりません。センター試験で厳密に管理・チェックされた場合でも機器のトラブルは毎年起きてしまうのにそれよりも大規模の民間試験で何も起こらないとは考えにくいです。また、国の見解は「民間事業者の採点ミスや機器のトラブルなどの責任を負うことは基本的に想定していない」としているため、トラブルが起きた際の対応も定かではありません。

 

 

これから対策を講じられるとは思いますが、長く続いた制度から新しいこと制度へ変えるというのは何事も問題は生じるものだと思います。先週この英語民間試験の導入を見送るとの発表がありましたね。もう後数ヶ月後に受験を控えた受験生の皆さんは混乱と不安でいっぱいだと思います。英語に費やした時間を他の科目に費やしたかった、という方もあられると思いますが、英語の勉強は無駄ではないと思います。残された時間を悔いのないように頑張ってください。大学受験を間近に控える受験生の皆さんと保護者の方々が安心して受験に望めるよう、大学入試共通テスト実施者側も、それを利用する国公立大学や私立大学側も、詳細を発表してほしいものですね。

 

 

 

pec0ri